NPOの理事会は、法人の理念を実現するために積極的な役割を果たすことが期待されています。たとえば、資金調達や地域社会との連携、支援者への説明責任、日々の運営などです。NPOの理事会を役割によって整理し、類型化してみたいと思います。
アドバイス型理事会
アドバイス型理事会は、法人が活動する分野における専門知識を持つ研究者や経験がある実務者を中心に構成される理事会です。代表者や事務局長に対して法人運営に関する助言が主な期待になります。研究者や実務者はその分野での権威であることが多いため、法人の活動範囲の拡大や信頼性の向上などで法人への貢献が期待できます。
フィランソロピー型理事会
フィランソロピー型理事会は、かなりの経済力を持ち、法人に財政的な支援ができる理事によって構成される理事会です。アドバイス型理事会と似ていますが、フィランソロピー型理事会は助言ではなく財政での支援が期待されます。フィランソロピー型理事会の理事は、自らの寄付を行い、その影響力を利用して、法人が助成団体、企業、個人などさまざまな資金源からより多くの資金を調達できるように活動します。
アソシエーション型理事会
アソシエーション(協同組合)型理事会は、代表理事や理事長といった代表者を設置しない理事会です。理事全員が代表権を持ちリーダーシップと説明責任を果たします。アソシエーション型理事会は民主的な理事会と言えますが、常に複数人で合意形成を行う必要があるため、意思決定に時間がかかることが考えられます。
マネジメント型理事会
マネジメント型理事会は、資金調達や広報、人事、事業など各理事の専門知識や経験を活かして担当理事制を採用します。理事が各部門の責任者でありつつ、日常的な運営にも関与し、法人の日常業務を遂行します。常勤職員を雇用する資金力がない小規模のNPOに多く見られる理事会の類型です。
ビジョン型理事会
ビジョン型理事会は、マネジメント型理事会とは対照的に、日々の運営よりも法人の全体的なビジョン、目標、方針を設定することに注力します。ビジョン型理事会は、ビジョンや中期計画の策定のほか、規定類の作成、財務の健全性の確認、支援者や所轄庁への説明責任を行います。計画の実践や規定類の運用などの実務は、事務局長や事務局のスタッフが遂行します。
5種類の理事会の類型をご紹介しましたが、ひとつの類型に限定することはありません。理事会はガバナンス機関であると同時に、アドバイスやマネジメント、ファンドレイジングなどの機能も持たせることが可能です。最終的には、自分たちが求める機能や役割を持った理事会を作ることができます。優れた理事会は、理念と実務を一致させて、職員やボランティア、寄付者、会員を惹きつける魅力的な組織を作り、変化する事業環境を乗り切ることができます。