プロボノとの付き合い方

「プロボノ」は、職業上のスキルや専門知識、経験を活かして取り組むボランティア活動の一種です。語源は、ラテン語で「公共善のために」を意味する「Pro Bono Publico」です。

プロボノは、経営戦略、会計、人事労務、法務、広報・デザイン、マーケティング、ITなどビジネスに関わるさまざまなスキル・知識・経験を活かしたボランティアになっています。NPOで広報を担当すると、プロボノとともに活動する機会もあると思います。プロボノとの付き合い方の勘所を考えてみたいと思います。

綿密なプロジェクト計画

プロボノとの協働は「プロジェクト」になります。プロジェクトとは、期間と目標(成果物)を明確に定めることができる活動です。プロボノとして参加するボランティアに、いつまでに何をお願いするのか事前に明確にしておくことが重要です。たとえば、ウェブサイトの制作では、企画や構成、デザイン、原稿作成・素材集め、写真加工、コーディングなどの実務があります。ウェブサイトの制作として大まかに考えるのではなく、より細かく実務内容と成果物を書きだしておく必要があります。

プロジェクトにふさわしいプロボノの採用

NPOがプロボノに期待する実務内容を明確しておくことが、ふさわしいプロボノの採用につながります。その実務を遂行できるスキルを持ったプロボノを採用してください。「プロボノだから」「ボランティアだから」「無償でやってもらうから」とためらうことなく、過去の仕事の実績からスキルを持っているか確認しましょう。プロボノに応募してくる人は、経験が浅い人も多く、学びながら仕事をすることを目的にしている人もいます。

丁寧なコミュニケーション

プロボノはあなたの代わりになる存在ではありません。プロジェクトチームの一員です。NPOのビジョンやミッションを説明するオリエンテーション、プロジェクト進ちょく管理ミーティング、プロジェクトメンバーからのフィードバックなど、丁寧にコミュニケーションをとりましょう。コミュニケーションはプロジェクトに限る必要はありません。他のボランティアと同じように、最新の活動報告会や懇親会でコミュニケーションをとりましょう。

有償の契約と同じように取り組む

プロボノは、無償だとしても、その道のスキル・知識・経験を持ったプロフェッショナルです。プロボノの意見を尊重し、有償で仕事を依頼するのと同じような関係を築きましょう。NPOの期待に沿った優秀なプロボノは、多くの有償の仕事を抱えています。ITを活用し、コミュニケーションをデジタル化・効率化することも重要です。明確な納期の設定は必須ですが、あまり急がず、柔軟に対応することも時に大切です。

プロボノ以外の選択肢も考える

プロボノとの協働は、プロジェクトだけで終わらないこともあります。たとえば、ウェブサイトは立ち上げたあと、運用・維持していかなければなりません。有償サービスであれば運用サポートも含め一定レベルの品質が保証されますが、プロボノではそこまで期待できません。プロジェクト終了後も考えながら、プロボノ以外の選択肢も検討してください。

NPOがプロボノと協働するモチベーションのひとつは、予算がないことだと思います。しかし、プロボノとの協働は費用が発生しなくても、手間が発生しないわけではありません。NPOがプロボノとの協働を成功させるためには、プロジェクトの管理やボランティアのコーディネーションに時間とエネルギーを費やすことになります。プロボノとのよりよい関係を作って行ってください。

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