「チャリティー」と「フィランソロピー」は、どちらも寄付に関連する用語です。しかし、日本ではあまり明確に使い分けされているわけではありません。12月の寄付月間を前に、寄付に関連する「チャリティー」と「フィランソロピー」の違いについて考えてみたいと思います。
チャリティーとは
一般的にチャリティー(charity)は、危機的状況にある個人やコミュニティーに対する援助や救済、苦しみの軽減を目的にしています。即効性のある、短期的な解決策への支援と言えます。具体的な例では、食料や水、衣類などの基本的な生活必需品、住居や医療と言ったセーフティネットへの寄付が該当します。
フィランソロピーとは
一方で、フィランソロピー(philanthropy)は、問題の根本的な原因を特定し、問題を解決することを目的しています。フィランソロピーは、将来にわたって長期的で持続可能な変化を追求し、社会構造の変革を志向します。たとえば、路上生活者に食料を寄付するのではなく、路上生活者が生み出される構造を理解し、路上生活者を減らすための計画を策定し、その実行に対して寄付を行います。フィランソロピーは、計画的であり、目的意識が明確になっています。フィランソロピーの考えでは、寄付を「投資」であると考え、「運用益」(リターン)を期待しています。
違いを理解する意味
「社会問題からの一時的な救済」であるチャリティーと「社会問題の解決」であるフィランソロピーは、どちらの寄付もそれぞれに価値があります。寄付者がどのような寄付を行いたいかを考えておくことは重要です。また、2つの違いを理解することで、NPOがどのようなファンドレイジング・キャンペーンを行うかを考えるきっかけにもなります。チャリティーは一時的・反応的に寄付をするのに対し、フィランソロピーは継続的・計画的に寄付をします。
同時に、チャリティーとフィランソロピーは相互に排他的ではないことは理解しておく必要があります。チャリティーとフィランソロピーは相互補完的であり、この2つのアプローチを組み合わせることでより大きなインパクトになります。重要な点は、どちらのアプローチであっても、すべての寄付の目的は、困っている人々のポジティブな変化に貢献することです。そして、ファンドレイジングは変化を支える手段や道具でしかないということです。