ファンドレイジングにおける理事・理事会の役割

NPOの理事や理事会は、団体の目的やミッション、方針を定め、それらを実現するために人材を採用・育成する役割や事業計画を策定する役割があります。しかし、人材育成や活動計画を実施するためにファンドレイジングをしなければ、理事の役割の一部しか果たしていないことになります。ファンドレイジングにおける理事や理事会の役割について考えていきたいと思います。

寄付者としての役割

ファンドレイジングにおいて理事が担える1つめの役割は、団体に対する「寄付者」になることです。一人一人が行う寄付は大きくても小さくても構いません。周囲からは、理事は団体を熟知し事業を支えるために必要な資金を理解している、と思われています。理事が自らの団体に寄付をすることで、職員やボランティア、会員や寄付者といった関係者に理事会がファンドレイジングに尽力していることを示すことができます。時間を提供する個人はボランティアです。理事は団体の運営に責任を持つ特別なボランティアと言えます。お金を提供する個人は寄付者です。理事は、ボランティアと寄付者の両方の役割があります。

アンバサダーとしての役割

ファンドレイジングにおいて理事が担える2つめの役割は「アンバサダー」です。アンバサダーとは、個人の信用力を活かして団体の存在を社会にアピールする人のことです。理事にはあらゆる機会にNPOでの仕事や受益者について話すようにすすめてください。ファンドレイジング(資金調達)と伝えると逃げ腰になってしまいますが、NPOでボランティアしていること、理事になっていることを伝えるだけであれば、多くの理事が協力してくれます。理事がアンバサダーとなってまだ団体を知らない人たちとのつながりを作ることに力を貸してくれます。理事から紹介された新しい人たちのリストは、将来の寄付者のリストです。事務局はリストの人たちとコミュニケーションをとり、寄付を呼びかけます。

サポーターとしての役割

ファンドレイジングにおける理事が担える3つ目の役割は、ファンドレイジング担当者や事務局の「サポーター」です。専門知識を生かして知恵やアイディアを出す、情報の提供源となるなどもありますが、助成金の報告会議に同席する、電話やイベントに参加し寄付者に直接お礼を伝える、お礼の手紙に一筆添えるなどのサポートができます。ファンドレイジングは新規獲得だけではありません。既存維持もファンドレイジングです。理事は、紹介や依頼のプレッシャーを感じることなくファンドレイジングに取り組むことができます。

ファンドレイジングが得意でない理事を非難してはいけません。多くの理事は、トレーニングすれば上手になるものです。まずはトレーニングとして、自団体のファンドレイジング活動を説明する時間をとってみてください。そのうえで、理事にはアンバサダーには欠かせない名刺やチラシといったツール、訪問やイベント日程、お礼の電話の原稿見本など具体的にお願いしてみてください。

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