「寄付疲れ」とは何か?

最近、「パンデミック疲れ」「コロナ疲れ」「ZOOM(オンラインミーティング)疲れ」などと並んで、「寄付疲れ」という言葉を聞くようになりました。「寄付疲れ」とはどのような状態を指すのか、なぜ寄付疲れが起こるのか、その対応策について考えてみたいと思います。

「寄付疲れ」とは

寄付疲れとは、寄付者が寄付をすることに疲れてしまうこと、過去に寄付をしたことがあるにもかかわらず寄付をしなくなることと理解されています。たとえば、寄付額や寄付頻度の減少、退会率の上昇、継続率の低下のほか、イベントの参加者数の減少、メールマガジンの開封率やクリック率の低下、SNSのフォロー解除といった現象として表れます。

原因

寄付者とのコミュニケーション不足

寄付をお願いする郵便物以外のタイミングや方法で、寄付者とコミュニケーションをとっていないと寄付疲れの一因となります。寄付者とは無理のない頻度で定期的に情報を提供し、コミュニケーションを取り続けないと、団体への関心をなくしてしまいます。

寄付の効果が伝わっていない

自分の寄付が、どのように使われ、どれだけ社会の役立っているかを理解できないと、すぐに寄付をする意欲を失ってしまいます。寄付する理由や寄付の納得感・手ごたえを感じてもらう必要があります。

過度な寄付依頼

寄付のお願いをしなければ、寄付は増えません。しかし、過度な寄付依頼は逆効果になることがあります。たとえば、寄付礼状で次の寄付をお願いする行為は、過度な寄付依頼のひとつです。常に寄付をするようプレッシャーをかけられていると感じると、寄付者はフラストレーションが溜まります。

ポイントとなるのは、寄付者が寄付をすることそのものに疲れているのではないということです。寄付者が、これまでの寄付の影響や成果について何も知らされず、何度も寄付を求められることに疲れているということです。寄付疲れは、「寄付の依頼疲れ」「お願い疲れ」と言えると思います。

対応策

寄付者アンケートを行い「寄付疲れ」を確認する

まずは寄付者が寄付をしなくなった理由や退会した理由を誠実に聞くことで、自分の団体で寄付疲れが起こっているのかを確認することが重要です。団体についてどのように感じているか、正直にアンケートに答えてもらいましょう。アンケートによって、これまで気づかなかった団体の問題点が見えてくるかもしれません。原因がわからなければ、対策は取れません。

寄付者とのコミュニケーションを見直す

寄付者・支援者に対する情報発信が、寄付依頼やボランティア募集、イベント参加者募集などの「お願い」ばかりであれば要注意です。参加や協力を増やすためにはお願いは必要ですが、お願いだけでは相手は疲れてしまいます。寄付者とのコミュニケーションに「報告」を取り入れてください。活動の成果やコミュニティの変化を伝えることができる写真や受益者のメッセージを入れたメールであればお金をかけずに実施することができます。

寄付集めを目的としないイベントを開催する

ファンドレイジングを目的としないイベントを開催してみましょう。主催者であるNPOの職員が参加者としても楽しめるイベントが理想です。新年会や忘年会、ハロウィンやクリスマスパーティー、花見、暑気払いなど、寄付者にも呼び掛けてみましょう。オープンオフィスや役員や職員との懇親会・交流会でも構いません。このようなお楽しみイベントは寄付者のことを良く知る機会、寄付者に感謝を伝える機会になります。

寄付者が「必要とされていない」「評価されていない」「重要でない」「価値がない」と感じると、寄付をしなくなります。このような意味では、寄付疲れは、寄付をお願いする頻度ではなく、寄付をお願いするまでの間に何をするかが重要と言えそうです。寄付のお願いばかりをしていても、ファンドレイザー自身が疲れてしまいます。 寄付疲れは防ぐことができます。コミュニケーションに 「報告」や「感謝」を取り入れて、寄付疲れを防いでください。

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