NPO広報の役割のひとつ「アドボカシー」に取り組もう

NPO広報の役割には、「アカウンタビリティ」(報告と説明)、「ファンドレイジング」(資金調達)に加え、「アドボカシー」があると考えています。多くのNPOがなかなか取り組めていないアドボカシーについて考えたいと思います。

アドボカシーとは

アドボカシー(Advocacy)には、「擁護」「弁護」「支持」「主張」「政策提言」と言った意味があります。簡単に言えば、自分たちの生活や地域に関係する問題に対して意見や信念など声をあげることです。議員などの政策立案者に社会問題について具体的な解決策を提言することだけでなく、声をあげることで「私の問題」を「私たちの問題」にすることも含みます。社会問題化するプロセスと言ってもいいかもしれません。アドボカシーをNPOの広報という視点でとらえ直すと「世論形成」と考えたほうがしっくりくるかもしません。

アドボカシーの効果

NPOが多くの市民の参加や協力を得るためには、使命や活動内容を伝えるだけでは足りません。NPOが解決しようとしている社会問題について市民に理解してもらわなければなりません。NPOが活動する背景を伝える必要があるのです。アドボカシーに取り組むことによって、社会問題の認知度が高まる、社会問題の解決方法について教育・啓発ができる、寄付やボランティアといった活動に必要な資源を集めやすくなる、立法や政策の実現によってNPOの目的達成に近づくことができるなどの効果が期待できます。

アドボカシー(世論形成)の活動内容

問題の構造を理解する

社会に対して浸透させたいNPOが持っている問題認識を言葉にして表現できなければなりません。受益者ひとりひとりが抱える困難や受益者の持っている望みや期待をベースにしながら、解決しなければならない問題を特定して言語化します。そして、何が原因となって困難が生まれているのか、問題の構造を理解します。

現場の声を伝える

問題から直接影響を受ける人々や問題の解決にかかわるNPOが話すこと以上に、力強いことはありません。問題が私たちの生活にどのような影響を与えているか語ってください。もちろん、NPOが受益者の個人的な経験を話すときは、人権や個人情報への配慮など倫理的であることは前提になります。

他のNPOと連携する

問題の多くは、団体の使命や活動内容の垣根を越えて重なる部分があります。どのような問題が自分の使命や活動内容と隣接しているかを考え、同じ問題に取り組んでいる他のNPOと連携することができます。たとえば、シンポジウムに登壇してもらう、ニュースレターに寄稿してもらう、といったことからはじめることができます。

NPOが掲げるビジョンは、直接受益者へのサービス提供だけでは実現しないことがほとんどだと思います。サービス提供から得られる受益者の声をもとに、または受益者とともに、問題を 社会に 発信することで、世論を喚起・形成し、ビジョンの実現につなげていってください。

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