NPOとNGOは何が違う?

NPOで広報を担当していたときは、必ずと言っていいほど「NPOとNGOの違いは何か」と言う質問を受けていました。NPOの広報担当者なら、この質問に答えられるようにしておきたいものです。

NPOとは何か

NPOはNon-Profit Organizationの略で、日本語では非営利組織と訳されます。日本NPOセンターは、非営利について「利益を上げてはいけないという意味ではなく、『利益があがっても構成員に分配しないで、団体の活動目的を達成するための費用に充てること』」と解説しています。また、「NPOは社会的な使命を達成することを目的にした組織であると言える」と説明しています。

NPOは、特定非営利活動法人(NPO法人)には限りません。たとえば、一般(公益)社団法人や一般(公益)財団法人、生活協同組合(生協)や農業協同業組合(農協)、社会福祉法人、労働組合、宗教法人、学校法人、医療法人、政党なども非営利組織です。非営利という意味では、国や地方自治体、独立行政法人を含む場合がありますが、一般にNPOは、民間の非営利組織を指します。

NGOとは何か

NGOはNon-Governmental Organizationの略で、日本語では非政府組織と訳されます。Non-Governmental Organizationという言葉は、国連が国連憲章(1945年制定、第71条)の中で、会議の正式な参加国以外を示す言葉として用いられました。その言葉の通り、NGOは「政府ではない組織」と解釈することができます。

NPOとNGOの違い

NPOとNGOは、全く異なるものではなく重複したものです。NPOは非政府であることがありますし、NGOは非営利であることがあります。

NPOの中にNGOを位置付ける考え方では、NPOの中でも国際協力や国際交流のように国境を超える活動をしているNPO、環境、難民、人権などの国境を超える社会問題に取り組んでいるNPOを特別にNGOと呼ぶことが多いようです。

政府ではない立場、つまり市民の立場で社会問題に取り組んでいることを重視してNGOという言葉を使う場合もあります。海外では、国境を超える活動や国境を超える社会問題に取り組んでいなくてもNGOと呼ぶケースがあります。Non-Governmental(政府ではない)という消極的な用語ではなく、Civil Society Organization(市民社会組織、CSOと略します)という、より積極的な意味を持たせた表現もあります。

NPOとNGOに大きな違いはありません。NPOもNGOも、民間・市民が主体となった組織であること、営利を目的としない組織であること、社会的な使命の達成や社会問題の解決を目指している組織であること(社会改革を目指している組織であること)は共通しています。

NPOやNGOはこれまで社会貢献や社会の課題解決といった「社会を良くする」活動に取り組んできました。しかし、いまではSDGsに注目する企業は「社会を良くする」活動をはじめています。これからは、 NPOやNGOの役割として、制度や政策、文化や習慣などを変える、つまり「社会を変える」ことが重要になってくると思います。社会を変える方法論やプロセスとして、「非営利であること」を重視するのか、「非政府であること(市民であること)」を重視するのか、その組織の価値観、拠り所がこれからさらに大切になってくるのではないでしょうか。

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