社会を変えたいNPOが大切にしたい5つのE

社会問題の解決を目指すNPOであっても、社会に新しい価値を提案するNPOであっても、社会を変える・社会変革という目的は同じです。社会を変えたいNPOが大切にしたいことを考えてみたら、Eから始まる5つのことばになりました。

Empowerment(能力開発/変化)

エンパワメントは日本語に訳しづらい単語ですが、辞書的な直訳では「権限を与えること」「自信を与えること」「力を付けてやること」になります。私は、自分のことは自分で決めることができるという希望、社会や他の人の役に立っているという実感などを手に入れてゆく変化がエンパワメントだと解釈しています。NPOを支える人は受益者や社会のエンパワメントを期待していることが多いので、エンパワメントは重要なキーワードになります。

Excellence(卓越性)

専門性と言い換えてもよいかもしれませんが、NPOを支える人に他の団体よりもすぐれた点を伝えていくことが必要になります。コロナ禍という危機を乗り越えるうえで、卓越性・専門性に磨きがかかった団体もあるでしょうし、卓越性・専門性の範囲が広がった団体もあると思います。年間計画や中期計画を策定するタイミングで振り返ってみるのもよいかもしれません。

Experience(体験)

コロナ禍で対面による活動が制限されてはじめて、体験の重要性を感じているNPO関係者は多いと思います。NPOが取り組む活動を体験することは、何よりも社会問題や新しい社会価値への理解を深めることになります。体験した人は、周囲の人に問題意識を共有し、広めることにも協力してくれます。オンラインだけでは実現しない体験によって、NPOとNPOを支える人の結びつきを強化することができるのです。

Engagement(参画/愛着)

NPOを支える人の中には活動へ参加するだけではない期待を持っている方がいます。つまり、事業企画や組織運営などの参画です。英語で表現するならエンゲージメントです。企画や運営の段階からNPOを支える人が参画することでNPOは多様な視点を得ることができ、企画や運営の質を高めることができます。また、企画や運営について透明性が高まり、理解を得やすくなります。

Emotional Literacy(感情の読み書き能力)

エモーショナル・リテラシーは、そのままの感情(エモーション)の読み書き能力(リテラシー)という意味で使っています。自分の感情を理解して伝えることだけでなく、社会を変えようとするNPOにとっては、受益者の感情を読み解いてNPOを支えてくれる人に伝えることやNPOを支えてくる人の感情を把握してコミュニケーションをとることが大切になります。NPOが支援を得るには共感が重要だと言われますが、共感を得るためにはエモーショナル・リテラシーという能力を高めていく必要があります。

NPOを支える人たちの意識はスポンサーシップからパートナーシップへと考え方が変わってきています。個人からの支援や企業からの支援を得るためのコミュニケーションの切り口になります。どの言葉が意味することも意識することで高めることができたり、活動に取り入れることができたりしますので、ぜひ参考にしてみてください。

ファンドレイジングにおける理事・理事会の役割

2022.02.09

ファンドレイジング・キャンペーンを成功に導く4つのP

2021.08.25

NPOが企業と取り組むファンドレイジング・パートナーシップ

2021.07.28

NPOのファンドレイザーがやってはいけない6つのこと

2021.06.23

NPOが組織基盤の強化を始めるために

2021.01.15