非営利団体の読まれる会報/ニュースレターのつくり方

デジタル化のなかで、郵送で届く会報(ニュースレター)は時代遅れと思われるかもしれません。しかし、物理的に冊子を届けることは、非営利団体の信頼性を高めたり、安心感を与えたり、強い印象を残したりといった効果をもたらします。非営利団体の会報が読まれるためには、どのような記事が必要か考えてみたいと思います。

会報が読まれるポイントは「PUT」

非営利団体の会報の企画を考える際のポイントは、頭文字をとって「PUT」で整理できます。「Personal」(個人的)、「Useful」(役に立つ)、「Timely」(タイムリー)です。

Personal:個人的

会報には、できるだけ個人的なストーリーを盛り込む必要があります。たとえば、受益者個人と団体との出会い、どのように受益者を支援しているのか、その結果どうなったのか、などを伝えてください。可能であれば、写真やイラスト、チャート、グラフなども使ってストーリーを補完します。受益者だけでなく、会員や寄付者、ボランティアといった支援者のストーリーも素材になります。支援者の団体に対するアイデンティティやまた参加しようとするモチベーションを高めることができます。

Useful:役に立つ

必ずしも団体の活動報告が読者にとって役に立つこと、知りたいこととは限りません。支援している地域や解決を目指している社会的な課題に関する新しい事実や驚くべき統計などを織り交ぜて記事を作成しましょう。読者の一部は、活動する分野の専門家として団体に期待しています。活動している分野の専門性を会報で示すことができる団体は、それだけで読者に安心感を与えることができます。専門性を示すためには、行政や企業による取り組みを自団体の目線で伝える記事があっても良いでしょう。

Timely:タイムリー

目標の達成、イベントの開催、事業の拡大・終了など、会報では団体の最新情報を共有するようにしてください。マスメディアやソーシャルメディアで話題になっている活動地域・日本国内・海外のニュースとそれらが団体の活動にどのように関連しているか説明する記事や、世界的に認められている記念日、団体にとっての重要な日に関連する記事があってもよいと思います。

非営利団体が会報を発行する目的

発行目的というのは「誰(読者)の、何を達成したいか」を明確にすることです。発行目的が決まれば、「何を伝えるべきか(内容)」「どう伝えるべきか(表現)」の方向性も決まり、PUTのどこを重視するかも見えてきます。

・アカウンタビリティ(説明責任)

多くの団体は、会費や寄付によって実施されている事業の進捗状況を報告するために会報を作成していると思います。支援者に活動報告を行うとともに感謝を伝えている会報です。中には、活動内容を公式に記録するために会報を作成している団体もあると思います。アカウンタビリティを目的にする場合は、「Timely」(タイムリー)に受益者の「Personal」(個人的)なストーリーを中心に会報を構成するとよいと思います。

・コミュニケーション(交流・会話)

会報を団体と支援者との距離を縮め、より一層その団体を好きになってもらう手段と考えている団体もあります。コミュニケーションを目的に会報を発行する場合は、受益者だけでなく職員紹介や会員紹介など支援者の「Personal」(個人的)なストーリーのほか、読者(支援者)の質問に答えるコーナーなど「Useful」(役に立つ)な誌面上の工夫が必要になります。

・ファンドレイジング(資金調達)

会報を会員や寄付者に限定せず広く販売している場合、ファンドレイジング(資金調達)という目的も帯びてきます。コンテンツ・デザインともにお金を出してでも手に入れたいものにする必要があります。ファンドレイジングを目的にした会報を作成する場合、「Useful」(役に立つ)な誌面を基本にしつつ、「Timely」(タイムリー)な「Personal」(個人的)のストーリーを特集するなどして、PUTをバランスよくちりばめて企画を考えなければなりません。

今どき印刷された会報が自宅のポストに届くのは、デジタルとは異なる安心感と期待感があります。デジタル情報に比べ、目を通していても気が散らないことから情報伝達のチカラが強く、読者の行動を呼び起こす可能性も高くなるのではないかと感じています。会報を印刷して郵送で送ることはデジタルほど安くはありません。あらかじめ予算を確保しておく必要がありますが、それだけの価値があるのではないでしょうか。

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