NPO広報物の新セオリー 「3密回避の原則」

NPOの広報担当者は自らチラシやパンフレットを制作したり、他の担当者が制作したチラシやパンフレットを確認したりすることも多いと思います。チラシやパンフレットのデザインにも応用できる「3密」について考えてみたいと思います。

「密集」を避ける

NPOは、チラシやパンフレットに情報を詰め込む傾向にあります。「せっかくなら」と盛り込む情報が増え、情報が密集することになります。情報を盛り込みすぎると、結局「言いたいことがたくさんある」ということしか伝わりません。情報量が多ければ、本当に伝えたい情報が目立たなくなり、届きにくくなります。

どうしても多くの情報を掲載したい場合は、写真やチャート(図やグラフ)にできないか考えてください。1,000字の文章よりも1枚の写真やチャートのほうが伝わることがあります。また、小さくて見づらい写真を多用するよりも、少ない枚数で大きくて高品質な写真を使うのがベターです。写真の高さや幅はそろえてください。

「密接」を避ける

限られたスペースに情報を詰め込むと、どうしても情報同士が密接し、余白がなくなってしまいます。本文や写真やイラストといったビジュアルの周りに余白があるだけで、近くにある他の情報から干渉されずにその情報が印象に残りやすくなります。

見出しを意識的に立てるだけでも、余白が生まれて密接を避けることができます。読者は見出しを目にすることで本文を読むかどうかを決めています。また、タイトルや見出しは派手な装飾や変形をやりすぎると読みやすさを損ねてしまいます。文字の大きさや太さでメリハリをつけて、伝えたい情報を目立たせます。タイトルや見出しは13字程度、本文の一文は40~50字にまとめると読みやすいと言われます。

「密閉」を避ける

NPOがつくるチラシやパンフレットは密閉しないように工夫しなければなりません。チラシやパンフレットに必ず「出口」を設け、チラシやパンフレットを見た人の次の行動を呼び起こす構成を考えてください。次に何をするべきか、読者へ明確に伝えます。

ボランティア募集やイベント開催のチラシであれば、問い合わせや申し込みのための情報が必要になります。寄付をお願いするチラシなら、振込口座の明記、郵便振込用紙(払込取扱票)の添付、オンライン募金ページへのQRコードなどが必要です。どのような内容のチラシやパンフレットであっても、住所、電話番号、電子メールなどの団体連絡先情報を常に掲載することを忘れないでください。

NPOのチラシやパンフレットは、「団体名や活動を広めること」「団体が取り組む社会問題に関する世論を喚起したり、世論を変化させたりすること」「(会員になる、ボランティアとして参加する、寄付をするといった)行動を誘発すること」といった目的があります。少しの改善で、伝わるチラシやパンフレットになります。

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