広報・ファンドレイジングの効果を高める心理的テクニック

非営利団体の広報活動やファンドレイジング活動に使える心理的テクニックを集めてみました。言い回しを工夫することで、お金をかけずにイベント告知やボランティア募集を改善することが期待できます。

団体への好感度を高め、印象に残す心理的テクニック

団体への好感度を高め、印象に残すための心理的テクニックとして、ザイオンス効果があります。ザイオンス効果は単純接触効果とも言います。その名の通り、相手に繰り返し接触することで好意度や印象が高まるという効果です。初めのうちは興味がなくても、何度も見たり、聞いたりすると、次第によい感情が起こるようになってきます。ただし、接触回数は10回が上限で、それ以上接触しても効果が上がらないという結果が分かっています。たとえば、メールマガジンを発行することで接触回数を増やしたり、毎日欠かさずブログを更新しSNSに投稿したりするだけでも、団体への好感度を高め、印象に残すことになります。

イベントの集客に効果がある心理的テクニック

イベントの集客力を高めるには、「カクテルパーティー効果」が活用できます。カクテルパーティー効果は、「音声の選択的聴取」「選択的注意」とも呼ばれます。カクテルパーティーのようなワイワイガヤガヤした環境のなかでも、自分が興味のある人の会話や自分の名前などは、自然と聞き取ることができる現象を指します。「それは私のこと!!」と思わせるような呼びかけにすることでイベントの集客がよくなります。たとえば、「非営利団体で広報を兼任している若手担当者」「大阪市内で二人のお子さんを育てているお父さん」など、イベントを告知するときに参加してもらいたい人を具体的な例を挙げながら呼びかけることで、多くのイベント(イベント情報のワイワイガヤガヤ環境)の中からイベントを見つけてもらいやすくなります。また、メールマガジンのタイトル(件名)に「個人名」を入れることで、毎日届くメール(メールボックスにおけるワイワイガヤガヤ環境)の中からの見つけてもらいやすくなります。

メールマガジンを読んでもらう心理的テクニック

カクテルパーティー効果を使ってメールマガジンを見つけてもらったら、次はメールマガジンを開封してもらわなければなりません。その時に使えるテクニックがツァイガルニク効果(ザイガニック効果、ゼイガルニク効果、ゼイガルニック効果とも読みます)です。人は達成できなかった事柄や中断している事柄のほうが、結果が明らかになっていることよりも興味を持ち、記憶に残りやすいという心理現象です。「答えが気になる」「焦らされて興味を惹かれる」という感覚がツァイガルニク効果です。メールマガジンの件名を、「なぜ~なのか?」や「~とは?」といった疑問文(よく見る「~しませんか?」という呼びかけではありません)や重要な単語を伏せ字にすることで、答えが気になり本文を読みたくなります。ブログのタイトルにも応用できそうです。

会員や寄付の増加に貢献する心理的テクニック

空の募金箱より、すでにいくらかお金が入っている募金箱のほうが募金しやすいという経験はありませんか。「みんなが募金している(参加している、協力している)から安心!」というのがバンドワゴン効果です。「バンドワゴンに乗る」とは時流に乗る・多勢に与する・勝ち馬に乗るという意味があります。ある事柄に対し、大勢の人がそれを支持している場合、その事柄への支持がよりいっそう高くなる現象のことをバンドワゴン効果といいます。募金箱は中が見えるものを用意し、呼び水となるお金を事前に入れておくとバンドワゴン効果が働きます。また、クラウドファンディングは何人がいくら支援しているかわかる仕組みになっています。まずは、役員や職員、会員、ボランティアスタッフなど身近な人に呼びかけて、支援者数と支援額を増やしてから、広く告知するのも効果的です。クラウドファンディングに限らず、団体のウェブサイトで会員数や寄付者数を公開するのもいいでしょう。

非営利団体が絶対に使ってはいけない心理的テクニックとは?

この見出しには、すでに説明した非営利団体という弱めのカクテルパーティー効果と結論まで言わないツァイガルニク効果を取り入れてみました。もうひとつ入れたのは、カリギュラ効果です。カリギュラ効果とは、「心理的リアクタンス」とも呼ばれ、禁止・制限・限定されればされるほど逆にそれをやりたくなってしまう心理のことです。ただし、闇雲に使っても逆効果になります。ボランティアを集めたいがゆえ、「本気でボランティアしたい人以外は見ないでください」と伝え、誰でも気軽にできるボランティアが紹介されていたらどうでしょう。その団体は信頼できませんよね(海外で長期にわたって行うワークキャンプやスタディーツアーならあり得ると思います)。絶対に使ってはいけないとまでは言えませんが、取扱注意のテクニックだと思います。また、会員やボランティア限定の交流会やパーティーなど限られた人だけが内容を知ることができる企画は、会員やボランティアではない人にはカリギュラ効果が働くと言われます。

ここにご紹介した心理的テクニックはテクニックでしかありません。テクニックを多用する前に、しっかり社会的課題への姿勢を明確にし、社会に対して新たな価値を提案していく活動を磨いていくことも重要です。活動と表現はどちらも改善することでテクニックも活かされます。

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