NPOの活動報告 どうしてする?どうやってする?

NPOの広報活動の目的には、「報告」も含まれます。そしてNPOの広報において、「報告」はとても重要な位置を占めています。NPOが取り組む報告について、まとめてみたいと思います。

NPOが行う報告の目的

説明責任を果たすため

NPOは説明責任のために報告を行う必要があります。法律で情報開示が義務付けられている法人もあります。義務付けられていなくても、支援者に報告することで、責任を果たしているNPO、信頼に足りるNPOだと思ってもらえます。

社会の期待に応えるため

市民や企業がNPOを支援する背景には、大切にしたい人・動物・植物や地域社会を守ってほしい、気になる社会問題を解決してほしいという期待があります。これらの期待に応えて、「支援してよかった」と思ってもらうために活動報告を行います。「支援してよかった」という実感は継続した支援になります。

新たな支援者の獲得のため

支援者以外に広く報告することで「責任を果たしているNPO」「支援者の期待に応えているNPO」と認識してもらえれば、新たな支援者の獲得にもつながります。

報告の種類

報告には大きく2つあります。ひとつは会計報告、もうひとつは活動報告です。会計報告は、企業であれば3か月毎の四半期報告や半年毎の半期報告を行いますが、NPOであれば年に1回、社員総会に合わせた年次で報告することが多いようです。NPOでは、もうひとつの報告である活動報告のほうが重視されています。NPOの活動報告では、寄付や助成金といった財政的支援が、どのような変化をもたらしたかを写真なども使いながら報告します。定量的な数値だけでなく、受益者の変化のストーリーを定性的に報告(ナラティブ・レポーティング、記述情報開示)します。

活動報告の方法

事業報告書

会計報告と同時に年に1回、事業報告書で活動報告します。多くのNPOは所轄庁に提出する事業報告書を代用しています。しかし、所轄庁が求めている報告と支援者や市民が求めている(期待している)報告は異なります。支援者向けには活動のイメージが付きやすい写真を入れた報告書が好まれます。

会報(ニュースレター)

年に2回から6回程度、継続支援者向けの会報(ニュースレーター)を発行しているNPOがあります。会員やマンスリーサポーターといった継続支援者には冊子を印刷して、郵送することが多いですが、PDFをウェブサイトに掲載することもあります。

ウェブサイト(ブログ)

ウェブサイトやブログで活動報告することは一般的です。冊子による会報よりも低コストででき、タイムリーにできます。しかも、一般に公開されているので、新たな支援者の獲得にもつながります。ただ、会報を定期的に発行していれば、会報の記事をウェブサイトに流用することができ、手間を省くことができます。

E-mail

E-mailを使った活動報告も低コストできます。月に1回~2回程度、定期的に報告することができれば、メールマガジンとして発行することもできます。メールマガジンは既存支援者だけでなく、広く潜在支援者も対象に発行することもできます。ウェブサイトと連携することでより効果的です。

ソーシャルメディア

ツイッター、フェイスブック、インスタグラムといったソーシャルメディアは、ウェブサイト以上にタイムリーに活動報告することができ、広報担当者以外の職員を含めた体制を整えることもできます。支援者は受益者の変化がわかるタイムリーな活動報告に期待しています。

イベント

イベントで活動報告をすることもできます。講演形式の活動報告だけでなく、スタディツアーのように実際に現場を見てもらいながらの活動報告も可能です。

「なぜ支援者はあなたのNPOを支援しているのか?」、つまり「あなたのNPOに期待していることはなにか?」を正確に把握しておくと、より効果的な活動報告をすることができます。また、支援者は活動現場を直接訪問し、見ることができるとは限りません。さまざまな手段や表現で報告することが求められます。まだ活動報告に十分に取り組めていないNPOは、ぜひ取り組んでみることをおすすめいたします。

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