NPOの広報でやってはいけないこと

NPOやNGOの広報担当者になって間もない方、これから広報活動に取り組む方に向けて「やってはいけないNPOの広報」についてまとめてみたいと思います。

作ることが目的化する

理由がない広報は見直したほうがいいと思います。当初は明確な目的や役割があっても、時代の変化とともに役割が終わっている・役割が変化している場合があります。それにも関わらず、当初のまま続けている活動はありませんか?
たとえば、会報(ニュースレター)です。制作開始当初の情報発信手段が限られていた時代であれば、会報にも明確な目的や役割があったと思います。ウェブサイトやソーシャルメディアなど情報発信手段が多様化した今では、会報の役割は変わってきていると思います。役割が変われば作り方だって変わってきます。目的や役割をその都度見直す機会をつくらないと、制作することが目的化します。メルマガやメーリングリスト、ソーシャルメディアも、開設したから続けるという姿勢でいると効果的ではありませんし、人とお金の無駄使いになるだけです。

専門用語(カタカナ語)を多用する

NPOやNGOにはカタカナ語が多いですよね。たいていそれらのカタカナ語は専門用語だったりします。ワークショップ、ファシリテーション、コーディネーション、ドナー、プロジェクト、ファンドレイジング、プロボノ、ソーシャル・インパクト、スタディツアー、アジェンダ、サステナビリティ、ステークホルダー、クラウドファンディング、コーズマーケティング、ガバナンス・・・もし、一般の市民から支援を得たい、寄付を募りたいのであれば、専門用語を多用しないほうがいいでしょう。
「フェアトレード」という言葉があります。国際協力分野では一般的な言葉ですが、新聞などでは「フェアトレード(公正貿易)」などと脚注、カッコ書きがつきます。脚注がつくような言葉はまだ市民権を得てないと考えておいたほうが無難です。実際、フェアトレードという言葉も意味も知っている認知率は、29.3%(2015年、一般社団法人日本フェアトレード・フォーラム)です。フェアトレードという言葉を使うことで、10人中3人にしか伝えることができません。

「次の行動」の提案がない

たとえば、会員募集の案内なのに申込書の添付もなければ、振り込み口座の案内も、問い合わせ先の記載もないチラシ。「次の行動」につながる提案がない広報を見ると、非常にがっかりします(怒りすら感じる場合があります)。デザインやレイアウトを勉強する前に、チラシが相手に渡った先のこと、チラシを見た人の視点で想像する努力が必要だと思います。次の行動の提案や行動の入り口を常に意識しておくことがNPOやNGOの広報担当者には求められます。イベントの開催、ボランティア・職員募集、寄付といった内容、ウェブサイト、メルマガ、チラシ、冊子など媒体にかかわらず、常に「次の行動」を提案していくことが大切です。

ウェブサイトの更新やソーシャルメディアへの投稿、チラシの作成などの作業をしていれば、仕事をやっている気になります。NPO/NGOの広報・PRの目的は、社会的な課題の解決や社会的価値の創造であって、社会や市民の行動を変えていくことだと思います。年間計画を策定する時期に、これまでの広報活動を見直してみてはいかがでしょうか?

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