会員とマンスリーサポーター、呼びかけ方と集め方はこう違う。

多くのNPOは会員だけではなく、マンスリーサポーター(継続的な寄付者)の募集をしています。多くの場合、どちらもクレジットカードや口座自動引き落としによる継続課金であり、支援者から見るとその違いは分かりにくくなっています。広報の視点からどのように使い分けるか整理してみたいと思います。

 

正会員(意思決定に参加)

会員のなかでも議決権を有している会員が正会員です。議決権を有しているため、正会員の会費は、税の優遇措置の対象とはなりません。議決権を有しているということは、組織の戦略や方向性にかかわる意思決定に参加できることを意味します。
会員は団体の理念や活動姿勢、ビジネスモデルに共感し、意思決定に参加する支援者と言えます。どのような活動に取り組んでいるのか以上に、なぜその活動に取り組んでいるのか、どのような姿勢で取り組んでいるのかを伝えていくことが重要になります。また、意思決定体制、リーダーシップ、人事異動(人事交流)、財政など組織運営に関することの情報開示も大切になってきます。

 

マンスリーサポーター(活動に参加)

マンスリーサポーターとは、継続課金による継続的な寄付者のことを言います。議決権はありませんが、認定NPOなどであれば寄付金は税の優遇措置の対象という特典を受けられます。
マンスリーサポーターは、団体の哲学というよりは取り組んでいる社会問題や取り組みの内容に共感し、社会的な課題の解決する活動に参加する支援者です。どの社会的課題に取り組んでいるのか、どのように社会的課題に取り組んでいるのかを丁寧に説明する必要があります。「アジアの図書館サポーター」(シャンティ国際ボランティア会)、「子どもワクチンサポーター」(世界の子どもにワクチンを 日本委員会)、「難民スペシャルサポーター」(難民支援協会)といったようにマンスリーサポーターの名称に社会的課題や取り組み内容をつけることでより直感的に伝えることができます。

 

賛助会員(会員という名の寄付者)

手ごわいのが賛助会員の伝え方です。賛助会員は、正会員ともマンスリーサポーターとも異なる伝え方が必要になります。会員という名称がついていながら会費を寄付の扱いとする場合があります。賛助会費を寄付としてパブリックサポートテスト(PST)に参入するために、会費を3,000円に設定する団体も多く見られます。
賛助会員は、財政的に組織の運営を継続的に支える寄付者ととらえるのが分かりやすいと思います。賛助会員は定款に定められていることが多いので修正や追加することは簡単ではありませんが、さまざまな賛助会員の種別を設けることができます。学生賛助会員、企業賛助会員、団体賛助会員、名誉賛助会員、終身賛助会員など団体の理念と組織運営の方針に照らし合わせて、設定することがよいかもしれません。

 

正会員もマンスリーサポーターも「共感」が参加のキーワードである点は共通しています。どのような点に共感し、支援者になっているかはメニューごとに異なっています。会員やマンスリーサポーター対象にアンケートを取ると、自分たちの団体の実態がつかめます。会報同封(はがきやFAX)やウェブサイト、メールなど費用をかけずにアンケートはできるので一度実施してみることをお勧めします。

 

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