中間支援NPOの広報・ファンドレイジング

「中間支援団体」とは、英語の「intermediary organization」を日本語に訳したものです。intermediary(インターミディアリー)には「仲介の」「媒介の」「中間の」という意味があります。一般的に、非営利団体と資金/人材/情報などの資源提供者との間をつなぐ仲介機能を持った団体で、「NPOを支援するNPO」と呼ばれています。この記事では中間支援団体の分類をしたうえで、中間支援団体の広報やファンドレイジングについて考えてみたいと思います。

中間支援団体の分類

中間支援団体に近い用語として中間支援施設があります。中間支援施設には「民設民営」「公設民営」「公設公営」と言った分類がありますが、今回は団体と施設を区別し、団体の分類をしています。

地域型

都道府県や市町村といった地域に密着した中間支援団体。利用者は、地域の個人や企業、団体。

分野型

国際協力や子ども食堂など活動分野を限定した中間支援団体。利用者は、特定分野で活動する団体、特定分野に関心のある個人や企業。

職能型

ファンドレイザーやボランティア・コーディネーター、ファシリテーターなど職能型の中間支援団体。利用者は、特定の職能に就く個人が中心。

複合型

複合型は「地域×分野」や「地域×職能」「分野×職能」といったように、複数の切り口による中間支援団体。

団体により活動内容はさまざまですが、寄付の仲介や助成などによる資金的支援、研修や相談を通じたマネジメント支援、イベントやボランティアなど情報発信支援、地域や分野、職能を代表してのアドボカシー・政策提言活動などに取り組んでいます。特に、マネジメント支援に重点的に取り組んでいる団体は「運営支援組織」(Management Support Organization)、アドボカシー・政策提言活動や法的整備を始めとする市民活動の環境整備を重視する団体は「基盤的組織」(infrastructure organization)と言うこともあるようです。

中間支援団体の広報・ファンドレイジング

業界全体を広報する

中間支援団体の活動に関する広報だけでなく、地域や分野、職能といった全体の広報が中間支援団体には求められています。業界全体を底上げするための広報と言えます。たとえば、地域型の中間支援団体であれば、その対象地域の状況や社会的課題を広報していく必要があります。分野型であれば、その分野そのものの認知を高める広報になりますし、職能型ではその職能の社会的地位を高める広報です。

中間支援を言い換える

冒頭で「中間支援」は英語の「intermediary」を翻訳したもの、とお伝えしました。そのまま和訳したものになりますので、独自の言い方を考えてもよいのかもしれません。自分の団体の活動を独自の言葉で定義することこそ広報になります。中間支援/インターミディアリーは市民活動やNPOに関わる人にしか伝わらない、いわば業界用語です。より日常的な表現を使うことで中間支援に対する理解や支援が得られます。

中間支援のインパクトを伝える

中間支援というのはあくまでも手段だと考えられます。中間支援に取り組むことでどのような社会や地域を目指すのか、中間支援が目指す成果(アウトカム)やインパクトまで広報することによって中間支援団体の存在感がより高まります。中間支援活動のインパクトを伝えることは、個人や企業といった支援者に対する効果的なアプローチになります。長期的に寄付を増やすことにもつながります。

中間支援団体の事業を変革する

総合商社を参考にして中間支援団体の事業について考えてみたいと思います。総合商社の特徴は、情報収集能力、ネットワーク力、オーガナイズ力(プロジェクト形成力)、コーディネート力などがありますが、多くは非営利セクターの中間支援団体の特徴や機能と合致します。総合商社は貿易(トレード、仲介)だけでなく事業投資・事業開発に力を入れています。同様に、中間支援団体も仲介機能に加え、自ら事業を行い、または地域の団体と協働で、支援活動を展開することによってビジョン・ミッションを実現させることもできるのではないでしょうか。

研修や講義で中間支援団体の皆さんとお仕事する機会も多く、中間支援団体の広報やファンドレイジングに悩まれているのを見てきました。やや乱暴で非現実的な意見も含まれているかもしれませんが、私なりの意見をまとめてみました。参考になれば幸いです。

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