税務署に聞いてみた。はがきの収集は寄付?それとも収益事業?

税務署に聞いてみた。はがきの収集は寄付?それとも収益事業?

物品寄付のなかでも、かさばらない未使用や書き損じ郵政はがきは人気アイテムのひとつです。物品寄付としてはがきを集めているNPO/NGOも多いのではないでしょうか。はがきの収集について、寄付として非課税なのか、収益事業として課税されるのか、税務署に聞いてみたので報告したいと思います。

物品寄付プログラムに効く広報

物品寄付プログラムに効く広報

2017.03.23

はがき寄付の流れは、以下のようになります。NPOやNGOといった団体が支援者からはがきを集め(寄付を募り)、団体ではがきを郵便局で切手シートに交換した後、金券ショップ(買取業者)で換金します。その換金額が団体の活動資金になります。

支援者 =>(寄付)=> 団体 =>(換金)=> 金券ショップ(買取業者)

これを別の視点から見ると、団体が支援者からほぼ0円ではがきを仕入れ、団体が金券ショップ(買取業者)に販売しているとみなすことも可能です。この場合、収益事業(物品販売業)としても捉えることができてしまいます。

支援者 =>(仕入)=> 団体 =>(販売)=> 金券ショップ(買取業者)

埼玉県内にある某税務署で聞いてみたら、その場では結論がでず「この取引は課税か非課税かクレーゾーンです」というまさにゼロ回答でした。さらに「団体の規模や活動内容で、課税・非課税が決まるのではないか」という訳の分からないことを言っていました。同じ取引で、規模で課税・非課税が変わってくるのは明らかにアンフェアですよね。「たくさん税金が取れる団体からは取りますが、そうでもない団体は見逃します」と言っているようなものです。

さすがにこれだけでは不安だったので、東京都内の某税務署でも聞いて見ました。そこでは「収益事業とみなす」と説明を受けました。もし収益事業とみなされてしまうと「法人税の申告と納税の対象」になります。公益社団法人であれば、収益事業の収益を、自らが行う公益目的事業のために支出したものとして寄付金の損金算入限度額に達するまでの金額を損金算入することができます(みなし寄付金制度)。一方、認定特定非営利活動法人(認定NPO法人)にも、みなし寄付金制度はありますが上限が200万円となっています。

さらに「消費税の申告・納税の対象になる可能性も出てくる」とのことです。消費税には細かい規定がありますが課税売上高が1,000万円を超えた場合(1,000万円以下は免税業者)は、【受け取った消費税】ー【支払った消費税】で計算する消費税を申告する必要がでてきます。はがきの収集だけを見た場合、仕入れは0円ですので、【はがきの買取時で金券ショップから受け取った消費税】-【はがきの仕入で支払った消費税(0円)】、つまり金券ショップから受け取った消費税を納付しなければならない可能性があるということです。

消費税には「郵便局などでの郵便切手類の譲渡は非課税取引」「商品券・プリペイドカードなどの譲渡は非課税取引」といった細かい規定があります(国税庁「非課税となる取引」)。また、国税庁から「国、地方公共団体や公共・公益法人等と消費税」という説明パンフレットが出ています。気になる方はご覧ください。

2つの税務署にしか聞けませんでしたが、はがきの収集は「寄付か収益事業か判断できないグレーゾーンで、やや収益事業寄り」ということでしょうか。どうしても白黒はっきりさせたいNPO/NGOの方は、埼玉県内某税務署で教えてもらった国税庁の文書回答手続をご利用ください。

国税庁「文書回答手続」

この記事は税務署での説明をまとめたものです。詳細は、税理士などの専門家にご相談ください。