NPOの活動をストーリーとして語ることができると、何カ月、何年の間、人々の記憶に残すことができます。ストーリーを語ることは統計データを説明するだけよりも記憶に残すことができます。それは私たちがこれまで聞いた(読んだ)童話や観たドラマや映画の内容を記憶していることからもわかります。そして、NPOは共有する価値のあるストーリーを持っています。
ストーリーの種類
NPOが語れるストーリーにはいくつかの種類に分類することができます。ストーリーは団体ごとに異なりますが、これらの分類はストーリーを探すときの参考になります。
受益者のストーリー
NPOには受益者のストーリーを紹介することができます。NPOは毎日のように新しい受益者のストーリーを生み出しています。NPOが支援している人々はどのような人々で、どのような影響を与えることができたのか、どのように変化したのかを会員や寄付者に伝えることができます。
実話をもとにしたストーリー(プラン・インターナショナル・ジャパン)
支援者のストーリー
会員や寄付者、マンスリーサポーターといった支援者のストーリーもNPOが語れるストーリーのひとつです。会員や寄付の経験が、その人にとってどのような経験になっているのか支援者に聞いてみましょう。支援者のストーリーによって支援者への感謝の気持ちを表すことにもなりますし、新たな仲間を増やすことにも貢献します。
LFAサポーターインタビュー(Learning for All)
ボランティアのストーリー
NPOにボランティアで関わっている人々のストーリーもNPOが伝えることができるストーリーです。受益者や支援者と同じように、ボランティアがどのようにしてその組織に関わるようになったのかという独自のストーリーを持っていることがあります。
職員のストーリー
NPOの職員は、自分たちの団体がもたらしている受益者の変化や影響について日常的なストーリーやエピソードを知っています。自分たちの組織で働くことの意義や意味、手ごたえや実感を語ってもらいましょう。
創業・設立のストーリー
ほとんどのNPOには、その活動を開始した経緯について、興味深いストーリーがあります。NPOは、創業者がどのような人で、どのように社会問題と出会い、どのような挑戦をしてきたのかという個人的なストーリーを語ることができます。
ストーリーの構成
ストーリーには「はじまり」があって、「本文(本編)」があって、「終わり」があります。当たり前のように聞こえますが、これを理解しておくだけでストーリーを組み立てやすくなります。
はじまり
はじまりは状況説明と主人公登場の場面です。ストーリーには必ず主人公がいます。主人公が直面している環境や主人公の目標や願いが記述されます。主人公が特定できるほど詳細に紹介する場合は、当事者の尊厳や人権への配慮が必要です。
本文(本編)
本文では主人公の目標や願いの実現に向けた行動が描かれます。行動する中で主人公は様々な困難や課題に直面するかもしれませんが、ときに仲間や外部のサポートを受けて困難を乗り越え、課題を解決していく様子が含まれます。受益者のストーリーの場合、あなたの団体の支援が主人公にどのように役に立っているのかも紹介します。会員や寄付者は、団体の支援がどう受益者に役に立っているか(つまり、自分の寄付がどう活動に役に立っているか)を期待しています。
終わり
ストーリーの終わりまでに、主人公には何らかの形の変化があります。主人公の「支援される側から支援する側になった」「周りから感謝されるようになった」といった変化もあれば、「社会や家族の役に立っていると感じている」といった意識の変化もあります。また、主人公に新たな困難や課題が見つかることもあります。それでも挑戦し続けるという希望を伝えることが重要です。
NPOは多くのストーリーを持っていますが、ストーリーを集めて共有するのは簡単なことではありません。しかし、ストーリーの種類を知っているだけで集めやすくなると思いますし、ストーリーの構成を理解しているだけで共有もしやすくなります。ぜひチャレンジしてみてください。