NPOの広報活動やファンドレイジング活動には、「モニタリング」の視点が必要だと思っています。NPOで働く多くの人たちにとって、「モニタリング」という言葉は馴染みがないかもしれません。モニタリング(monitoring)は、日本語で「監視」「把握」「観測」「測定」の意味があります。「監視」と言われるとNPOの人たちにとっては嫌なイメージを持たれるかもしれませんが、国際開発分野では一般的に使われている用語です。その意味は、「計画通り実施されているか進ちょくを確認し、計画と実績の差を把握し、目標達成のために改善を検討し、実施すること」と理解されています。
NPOの支援者は、資金を広報やファンドレイジングといった管理業務ではなく、困難を抱える人々への支援といった現場の活動に活用してもらいたいと思っています。支援者は、思い付きや行き当たりばったりで広報やファンドレイジングに無駄に資金を使うこと、資金が集まらずに支援活動が行われなくなること、思いを共有する仲間が増えないことを望んではいません。納得感のある広報・ファンドレイジングの計画を立て、必要最小限の予算を確保し、着実に計画を実行することが求められています。計画を立て、実行し、実績を確認し、改善することが「モニタリング」です。
当たり前ですが、モニタリングを行うためには計画がなければ行えません。この計画が代表者や担当者の頭の中にしかなく、明文化されていないことが頻繁にあります。計画が明文化されてなければ、思い付きや行き当たりばったりで広報やファンドレイジングが行われていると思われて仕方がありません。また、モニタリングは目標達成のために行う作業でもあります。実績に計画との差があった場合、その差が目標達成にとって重要かどうかを判断する必要があります。計画の途中であっても、目標達成にとって重要な差をなくせるように計画を見直し、実施していくことがなにより大切です。広報活動やファンドレイジング活動はやりっぱなしにすることなく、常に資金を有効活用できるように改善していかなければなりません。
計画は明文化するだけでなく、他の役員や職員に共有されてはじめて、広報やファンドレイジングに団体(チーム)として取り組めます。モニタリングを繰り返すことで、同じ失敗を繰り返すことがなくなり、より効果的な広報やファンドレイジングに発展していくのです。