ファンドレイジング(fundraising)とは、民間の非営利団体が活動するための財源を確保する取り組みであり、資金集めをすることです。日本語では「資金調達」「資金源開拓」などと訳されます。

ファンドレイジングを「フレンドレイジング」(friend-raising、友達集め)や「ファン度レイジング」(ファン度を高める)と意味づけする人もいます。ファンドレイジングは、単にお金を集めるということではなく、非営利団体の参加者や協力者を増やしていくことでもあります。「ファンドレイジングはマネーレイジング(money-raising)にあらず」と言ったところでしょうか。

ファンドレイジングに取り組む団体

ファンドレイジングに取り組んでいる団体は、民間の非営利団体です。企業の財源は事業収入(売上)や出資になりますので非営利団体となります。また、政府や地方自治体も非営利団体ですが、税金を主な財源しているので「民間の」をつけて区別しています。具体的には、特定非営利活動法人(NPO法人)や公益社団法人・公益財団法人、学校法人、社会福祉法人、宗教法人、政党、医療法人、農協や生協、一部の一般社団法人・一般財団法人などの多岐にわたります。

非営利団体の財源に関する全体像

ファンドレイジングは、会費や寄付、助成金、事業収入、借入金などを含め非営利団体の資金調達の総称として使われていますが、会費、寄付、助成金といった支援性財源に限定して使われることもあります。

支援性財源

支援性財源は運動性財源とも呼ばれます。見返りを期待せず、非営利団体の理念や活動に共感して提供される資金です。

会費(会員)

非営利団体の中には会費や入会金を設定しない団体もありますが、会費は非営利団体にとって最も重要な財源のひとつです。議決権を持つ正会員(定款上の「社員」)は、単に財政的な支援者というだけでなく団体の活動方針を決める意思決定者でもありますので、ファンドレイジングだけでなく組織統治(ガバナンス)の視点からも考える必要があります。正会員のほか、議決権を持たない会員も設定でき、利用会員ボランティア会員寄付会員など会員の関心やかかわり方に応じてさまざまな会員種別が考えられます。

寄付

寄付にはさまざまな分類があります。街頭募金や募金箱で集める「小口寄付」、遺贈のような「大口寄付」のほか、「一般(自由)寄付」「指定寄付」「単発寄付(今回だけ)」「継続寄付(毎月寄付)」といった分類ができます。お金以外にも、未投函の書き損じはがきなどの「物品寄付」、旅行に行くとたまるマイレージやクレジットカードなどの「ポイント寄付」があります。商品の売上の一部が寄付になる「コーズ・マーケティング」、参加費の一部が寄付になる「チャリティー・イベント」などに取り組む団体もあります。

助成金/補助金

助成金と補助金はほとんど同じ意味ですが、助成金は企業や助成財団から、補助金は政府や地方自治体から提供される資金という形で使い分けしていることが多いようです。どちらにしても、非営利団体が申請書を作成し、審査を受けなければ手に入らない財源です。会費や寄付が得られない団体立ち上げ時や新しい事業を開始する時の初期費用、事業を拡大するときの先行投資として、助成金・補助金は活用されています。

事業性財源

事業性財源は対価性財源とも呼ばれます。商品やサービスの提供の見返りとして提供される資金です。

事業収入

非営利団体であっても、事業を営み財源を確保することができます。大きくは団体独自の「自主事業」と、行政や他の企業・団体からの「受託事業」に分けられます。たとえば、コミュニティカフェ(飲食)、物品販売、出版、介護サービス、移動サービスなどです。企画・提案力や専門性、安定した事業実施体制が求められます。

指定管理者

地方自治体が設置した「公の施設」の管理・運営を民間事業者にゆだねる制度を指定管理者制度と言います。公の施設には、スポーツ施設や福祉施設、市民会館、図書館などがあります。非営利団体も指定管理者になり得ます。指定管理者は条例により定められ、議会の決議を経る点で、単なる受託事業とは異なります。施設利用にかかわる料金を指定管理者の収入とすることもできます。

借入金

金融機関からの融資(借入)も非営利団体にとって財源確保のひとつです。日本政策金融公庫や各地の労働金庫、信用金庫、信用組合のほか、地方銀行などが非営利団体・ソーシャルビジネス向けの融資を行っています。非営利団体に貸付を行うNPOバンクもあります。NPOバンクは、バンクという名称がついていますが金融機関ではありません。

疑似私募債

非営利団体は金融機関から借り入れることが困難なこともあります。その場合は、疑似私募債を発行することも選択肢のひとつです。企業が社債を発行するように、均一の条件で組織内外の多数の者(多くの場合、会員などの支援者)から借り入れる手法です。有価証券の「債券」ではないので、疑似となっています。NPO債や市民債とも呼ばれます。

非営利という特徴を生かすファンドレイジング

ご存じの通り非営利は「儲けてはいけない」「利益を出してはいけない」という意味ではありません。ましてや「儲からない=非営利」ではありません。非営利は「利益の分配をしない」(非分配制約)という意味であって、「(出資者や所有者が)利益を得ることを目的としてかかわっていない」ということです。積極的に言い換えれば、利益は社会問題の解決や新しい価値の創造といった非営利団体の事業に再投資しなければなりません。この非分配制約や利益再投資の原則があるからこそ、市民は安心して非営利団体へ参加と協力ができるのです。ソーシャルな分野であっても事業収入だけで組織運営を行うのであれば、営利形態の企業で問題なくできます。参加と協力の仕掛けである非営利という特徴を十分意識して、また上手に活用して組織運営とファンドレイジングに取り組む必要があります。

ファンドレイジング専門職「ファンドレイザー」

ファンドレイジングを担当するスタッフを「ファンドレイザー」と言います。ファンドレイジングは非営利団体が行う資金調達の総称と説明しましたが、ファンドレイザーがすべての財源の獲得に取り組むかと言えば、そうとも限りません。助成金や受託事業はプロジェクトマネージャーやプログラムオフィサーなど事業担当者が進めることがありますし、借入や疑似私募債は経理・財務担当者が取り組むことがあります。

非営利団体のファンドレイザーの主な守備範囲と言われれば、やはり会費や寄付になってくるでしょう。ファンドレイザーの中でも、文章執筆やデザインを活かして広く支援を呼びかける広報型ファンドレイザーもいれば、軽快なスピーチとフットワークで法人や大口支援者に丁寧に対応する営業型ファンドレイザーもいます。豊富な法務や財務の知識を活かす金融型ファンドレイザーもいるかもしれません。自分の経験や知識を活かして活躍できるのがファンドレイザーという職業かもしません。

お金をかけずにはじめるファンドレイジング

ファンドレイジングの具体的な取り組みは「お願いすること」「感謝すること」「育むこと」の3つにを分類できます。お願いすることも、感謝することも、育むことも、お金をかけずに取り組めることがたくさんあります。できることから取り組んでみましょう。

お願いすること

会員や寄付者の多くは非営利団体が取り組む社会的課題や活動内容、理念に共感した個人です。団体の概要や活動を丁寧に発信し、共感してくれた個人に支援をお願いしなければ会員や寄付は増えません。

もちろん対面や電話でお願いすることができますが、インターネットメールやウェブサイトを使ってお願いすることもできます。手紙(郵送)でメッセージを届けることもできます。イベントを開催するときに、参加者にお願いしてもいいでしょう。

企業にはCSRや社会貢献活動のひとつとして支援をお願いすることができます。助成金や補助金であっても、申請書を書いて提出しなければ獲得できません。資金以外の、ボランティアやインターンといった人材もお願いしなければ協力は得られません。

感謝すること

ファンドレイジングでは、支援者へ感謝の気持ちを伝えることは単なるマナーではありません。「1回寄付を受け取ったら7回感謝をする」という格言があるくらい、ファンドレイジングにおいて最も重要な要素です。

複数の方法で、複数回に分けて感謝の気持ちを伝えましょう。もし支援や協力に至らなくても、検討してもらったことや時間を割いてもらったことに対して感謝を伝えることも大切です。

寄付がどのような目的に使われたのか、写真や受益者のストーリーを語ることも感謝になります。支援してよかったと思ってもらえることが次回の支援になるのです。

育むこと

支援をいただけたということは、非営利団体に共感しているということにほかなりません。会員や寄付のお願い以外に支援者との関わりを持つようにすることで団体と支援者の関係性が育まれます。

定期的なニュースレターの発行、イベントのご案内、ボランティア活動へのお誘い、ソーシャルネットワークといったコミュニティへのご招待などに取り組んで非営利団体と支援者の関係を1回の寄付で終わらせない工夫をします。

新規の会員や寄付者の獲得だけがファンドレイジングではありません。いまの支援者の維持こそ最も効果的なファンドレイジングです。

 

お金をかけなくてもファンドレイジングに取り組めます。ただ、誰に何をお願いするのか、どうやって感謝すればいいか、支援者との関係の育み方のコツや勘所を知っていると、より効果的に支援者を増やすことができます。具体的なファンドレイジングのノウハウを得たい方はぜひ一度「ファンドレイジングのレシピ」をご覧ください。

「ファンドレイジングのレシピ」は、非営利団体や市民活動グループの広報や資金調達(ファンドレイジング)の”困った”の解決に伴走するウェブメディアです。