クラウド・ファンドレイジングとコミュニティ・ファンドレイジング

クラウドファンディングとは、「クラウド」(crowd/日本語で「群衆」)とファンディング(funding/日本語で「資金調達」)を組み合わせて新しく造られた言葉です。クラウドファンディングに特化したプラットフォームが登場したことによって、NPOにもクラウドファンディングによる資金調達が広まりました。ただ、クラウドファンディングという言葉やプラットフォームが広がる前から、インターネットを使った資金調達はありました。

Crowdfunding(クラウドファンディング)

クラウドファンディングとは、インターネットを介して不特定多数の群衆から支援を得て資金を調達する手法です。「Readyfor」「CAMPFIRE」「Makuake」「A-port」などのクラウドファンディングに特化したプラットフォームを使って取り組まれます。クラウドファンディングのプラットフォームには以下の4つの特徴があります。

特徴1 期間と目標が設定できる

資金を集める期間と集める資金の目標額を設定しなければなりません。いつまでに、いくら集めるかを明示することでゲーム性が生まれます。

特徴2  All in/All or Nothingが選べる

目標を達成しなくてもその時までに集まった額をもらえる「All in」形式だけではなく、期間内に目標額を達成しなければ1円ももらえない「All or Nothing」形式も選ぶことができます。これがゲーム性を高めています。

特徴3 報告ができる

クラウドファンディングに特化したプラットフォームでは、プラットフォームを通じて活動の報告ができる機能が実装されています。こまめに活動報告をすることで、支援者の関心を高め、さらに周囲へ広げてくれることが期待できます。

特徴4 支援者とコミュニケーションが取れる

支援金とともに支援者から応援メッセージが受け取れる機能と、それに対する返信ができる機能がクラウドファンディングに特化したプラットフォームにはあります。そして、このコミュニケーションは公開されます。このようなコミュニケーションを見ると、これから支援しようとしている人は安心できます。

プラットフォームそのもののブランド力や集客力に期待できたり、技術に詳しくなくてもデジタル・ファンドレイジングに取り組めたり、プラットフォームからのサポートを受けられたりする利点があります。一方で、手数料が割高、掲載のための審査などの手続きが必要です。

Crowd Fundraising(クラウド・ファンドレイジング)

団体のウェブサイトとオンライン決済を組み合わせて、団体独自にクラウドファンディング(インターネットを使った不特定多数の群衆からの資金調達)に取り組むことができます。こちらの取り組みはプラットフォームを使ったクラウドファンディングと区別するために「クラウド・ファンドレイジング」と呼ぶことにします。クラウド・ファンドレイジングは、プラットフォームを利用したクラウドファンディングより前から取り組まれていました。クラウド・ファンドレイジングの特徴は以下の通りです。

特徴1 手数料が安い

クラウドファンディングに特化したプラットフォームでは12%程度の手数料がかかりますが、独自にオンライン決済を導入すれば5%程度で済みます。

特徴2 継続的に取り組める

期間や目標を定めずに継続的に資金調達に取り組むことができます。クレジットカードの継続課金を利用すれば、月額寄付プログラムにも取り組むことができます。

特徴3 寄付以外の決済にも活用できる

NPOの財源は寄付だけではありません。オンライン決済は会費や物販販売、イベント参加費の決済に対応しているシステムもあります。

特徴4 状況に合わせて柔軟に対応できる

一度オンライン決済を導入してしまえば、災害時の緊急人道支援や周年募金、年末だけに行う年次募金など、状況に合わせて柔軟に対応することができます。また、クレジットカードだけでなくさまざまな決済方法を用意しているオンライン決済システムもあります。

ただし、インターネットに関する技術を持った職員の採用やボランティアの協力が必要になることがあったり、独自に展開するため団体そのものの認知度を上げ、ウェブサイトのアクセス数を増やしていく努力が欠かせません。

Community Fundraising(コミュニティ・ファンドレイジング)

不特定多数の群衆から資金調達するクラウドファンディングがあるのであれば、特定で少人数の人々から資金を集める方法もあります。それを「コミュニティ・ファンドレイジング」と呼びます。たとえば、NPOの会員やボランティア、学校のサークルや同窓会、職場、町内会といった特定のコミュニティをベースにした資金調達です。

特徴1 インターネットにこだわらない

募金箱/街頭募金、チャリティ・パーティー、チャリティ・バザー、参加型・体験型イベント(ワークショップ)などインターネットを使わなくても取り組むことができます。

特徴2 お金をかけずに取り組める

工夫やアイディア次第で、お金をかけずに取り組むことができます。パーティーやイベントでも参加費の一部かすべてがそのまま寄付になるように企画することができます。

特徴3 少人数で取り組める

協力してくれる人を見つけることは必要ですが、少人数で始めることができます。ひとりでも企画することはできますが、少なくとも予算と実績を管理する会計係を置いて現金を管理するようにしましょう。

特徴4 メディアに取り上げられやすい

コミュニティという地域に根付いた資金調達であれば、全国紙の地域面や地方紙などのメディアにも取り上げられやすくなります。

「クラウド・ファンドレイジング」と「コミュニティ・ファンドレイジング」を別のものとして扱うのではなく、「コミュニティ・ファンドレイジング」の延長として「クラウド・ファンドレイジング」をとらえる必要があると思います。インターネットを使うことによってコミュニティを拡大しているのです。また、コミュニティで支援を得られない活動は、不特定多数のクラウドから支援が得られるとは思えません。コミュニティといった支援の基盤があるからこそ、不特定多数の人々にも関心を持ってもらえるのです。

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