ドナーピラミッドを考える

非営利団体でファンドレイジングを担当していれば、一度は聞いたことがあるドナーピラミッド。ドナーピラミッドのつくり方とつかい方について考えたいと思います。

ドナーピラミッドとは

ドナーというのは直訳すると「提供者」で、非営利業界においては「資金の提供者」を指します。ファンドレイジング戦略策定では、人数と寄付額によって団体の寄付者の分布を分析するためにドナーピラミッドを作成します。

一般的に単発寄付者(1回限りの寄付)は人数が多く単価が低いため下層に位置します。複数回の寄付者、マンスリーサポーターのような継続的な寄付者、大口寄付者、遺贈寄付者というように上に行くにしたがって単価は高くなる一方で、人数は減っていきます。これを図で表すと以下のようなピラミッド型になります。

同じような考え方を持った「ステークホルダーピラミッド」もあります。ステークホルダーとは、日本語で「利害関係者」と訳されます。ドナー(資金の提供者)よりも分析する対象が広くなります。

ドナーピラミッドのつくり方

ドナーは「資金の提供者」を表しますが、ドナーピラミッドでは「時間の提供者」(ボランティア)や「物の提供者」などを含める場合もあります。横軸は人数であることが一般的です。縦軸は客観的に把握できる寄付額以外にも、団体に対する関心度や貢献度、理解度、共感度といった抽象的・主観的な基準でも構いません。たとえば、ボランティアは寄付額こそ少ないものの、団体への貢献度は高いと考える団体があっても構いません。軸を工夫することによってピラミッドの姿も変わってきます。

感覚的な多い/少ないではなく、具体的な人数を基に作成していきます。ドナーピラミッドは寄付者のリストをしっかり管理・蓄積していないと作れません。団体内にあるリストをすべて洗い出すことが必要です。寄付者リスト、会員リスト、ボランティアリスト、イベント参加者リスト、企業団体の営業リスト、メールマガジン登録者リスト、資料請求者リスト、事業をしていれば顧客(購入者)リストなどがあるはずです。これらのリストから具体的な人数を調べてください。

ドナーピラミッドのつかい方

実際にドナーピラミッドを作成してみると、きれいなピラミッド型になるケースはごく限られます。どこか途中がくびれていたり、逆三角形に近い形になったりします。不格好なピラミッドをきれいなピラミッドに近づけていくことが、次の施策を打つヒントになるわけです。ピラミッドの途中でくびれがある場合は、上の階層にある寄付プログラム(寄付メニュー)への参加の呼びかけやお願いが足りないケースやそもそもその階層に該当する寄付プログラムが用意されていないケースが考えられます。

すでにきれいなピラミッドをしていれば、ピラミッド自体を大きくしていくことが施策となります。ウェブサイトやSNS、イベントなどを増やしたり見直したりして、ドナーピラミッドに加わる前の人々に団体や活動を見つけてもらう取り組みが必要になります。メールマガジンの配信や資料請求の受付なども検討してみてください。

ドナーピラミッドは作ることが目的ではなく、使うこと、つまりファンドレイジング戦略に活かすことこそ重要です。効果的なファンドレイジングを実践するために、ぜひドナーピラミッドを活用してみてください。

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