継続支援者向けの特典を考える5つの視点

会員やマンスリーサポーターといった継続的な支援者は、NPOにとって特別な存在です。支援者に「あなたは特別な存在ですよ」ということを伝えるために、特典を用意しておくことを検討してみてください。すべての特典が以下に挙げる5つの視点にきれいに分類できるわけではありませんが、検討するひとつの材料として参考にしてみてください。

団体や活動の信頼を高める特典

多くの団体は、継続支援者に1年間の活動の成果をまとめたアニュアルレポート(活動報告書)を年に1度届けています。アニュアルレポートは、寄付がどのような活動に使われているのかを伝えるものとして説明責任(アカウンタビリティ)を果たします。支援事業の報告だけでなく、開催したイベントやキャンペーン、メディア掲載、会員やボランティアといった支援者の推移、今後の活動方針など組織運営全般に関わる報告が必要です。定款と最新アニュアルレポートや会報誌をセットにした入会セット(入会キット)を送付している団体もあります。

寄付者に感謝を伝える特典

会報誌やウェブサイトで継続寄付者の氏名を掲載し感謝を伝える以外に、寄付者に感謝を伝える手紙を送っている団体があります。国際協力分野のNPOであれば現地職員から直接寄付者に届けたり、国内の子ども支援に取り組む団体では子ども(受益者)の手書きメッセージを添えて届けたり、手紙に工夫がされています。入会時1回のみの場合もあれば、継続するたびに毎年手紙を送付することもできます。手紙以外では、受益者や職員の動画メッセージを作成している団体や、お礼の品として継続支援者になった人だけが手に入れることができるオリジナルグッズをプレゼントしている団体もあります。

寄付の手ごたえを感じてもらう特典

定期的に郵送(冊子)やメールで活動報告をしている団体は多数に上ります。冊子(会報誌)であれば、年2~6回程度、メールであれば毎月が多く、支援活動や受益者の様子がわかる写真を交えた報告が多いようです。多くの団体は、ウェブサイトに加え、ブログやフェイスブック、ツイッターなどSNSでも活動の様子を発信しています。継続支援者向けの特典では、ウェブサイトやSNSとは異なる切り口を意識する必要があります。役員や職員によるリレーコラムや受益者のストーリー動画など継続支援者限定のコンテンツを用意することも大切です。セミナーやシンポジウムは映像として保存し、継続支援者限定のウェブサイトに公開することも検討できます。

団体への愛着を持ってもらう特典

入会時に氏名や会員番号を印字した会員証や会員カードを発行している団体があります。カードでなはく、ノートパソコンやタブレット、車のバンパーなどに貼れるように会員証をステッカーにしている団体があります。ステッカーにすることで、団体への愛着を周囲へも伝えることができ、広報効果も期待できます。継続支援者限定の報告会やパーティー、訪問ツアーといったイベントを開催し、役職員や受益者と交流する機会を設けている団体もあります。また、物理的なイベントは難しい場合でも、フェイスブックなどで継続支援者限定のコミュニティをつくり、オンラインでの交流やライブ配信に取り組んでいる団体もあります。

団体の専門性を活かした特典

NPOには社会的課題の専門性があります。その専門性を特典にすることも可能です。たとえば、事務所で団体が取り組んでいる社会的課題に関する書籍や資料、同じ分野で活動する団体の会報誌などを保有していることがあります。それらの書籍や資料を継続支援者に限定して閲覧・利用を可能にすることも立派な特典です。また、団体のネットワークを活かした特典を開発することも可能です。大手の自然環境保護団体などは、提携した動物園や水族館で施設入場料の割引を行っています。自然環境保護団体の継続支援者と動物園や水族館の利用者は重なり合う部分が多く、双方にとってメリットがあります。

上記のほかに、認定(特例認定)NPO法人や公益法人であれば税の優遇措置を特典としてアピールできます。イベント参加費や商品・出版物などの優先予約や割引も特典になります。特典は凝っていなくても構いません。継続支援者に「あなたは特別である」という団体の気持ちを伝えることが目的です。団体にとって過度な負担にならないように規模や団体にある資源に照らし合わせて検討することが肝要です。

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